back<<<<<
]]]diachronic structure[[[


===foyer===
Jose

José Astrada
▼AGE:35
▼HEIGHT:183cm
▼WEIGHT:72kg
▼Default Wanzer:Pare PAW1
▼Default Weapons:Rifle


Lan Xiao Hua
AGE:34▼
HEIGHT:182cm▼
WEIGHT:63kg▼
Default Wanzer:Tieqi 4▼
Default Weapon:Flamer▼

Lan

 「お家よりいいところはない」。オズの魔法使いでドロシーをカンサスに連れ戻した魔法の言葉は、この二人には通用しない。

 ホセ・アストラーダはフィリピンの紛争地域(ということはおそらく南北両文化圏の境界辺りか)に生まれたというのだから、幼い頃から硝煙の臭いには親しかっただろう。それゆえ当然のように軍に入り、当然のように戦いに身を投じた。おそらくは、戦うこと以外になんの取り柄もないに違いない。だが、彼のただ一つの才能が、彼のただ一つの大切な物、恋人を死に至らしめるのである(余談だが、翻訳版では恋人がなぜか「妻」になっている。婚約者ではだめだったのだろうか?)。

 不思議なことに、その後ホセは脱走も除隊も試みていない。彼と同じ境遇のリー・ジャンメイは軍を脱走したというのに。徴兵制でも、ましてや人狩りによってついたのでもない職業軍人のはずである。事件直後に除隊するのが普通の人間の心理だろう。しかし彼は相変わらず軍に身を置き、それでも命令には従わず、度重なる規律違反により身柄を拘束されているのである。戦いを嫌いながら、戦うことしか知らない彼は、軍を離れても他に行くところを知らないのだ。翼をもがれた鷹が飢えて死を待つしかないように、戦うことの出来ない戦士は最後の審判を待ち続けるほかに出来ることはない。恋人の死の責任を軍に問うならば、それはまた怒りの矛先を自分自身に向けることにもなる。

 余談だが、彼のこの辺りの無気力加減は、そこはかとなく「オルタナティヴ」のマッコイを思い起こさせる。何かのきっかけで挫折していればマッコイもホセのようになっていたのではないかと、私には思えるのだ。

 一方のラン・ショウホァにとってはすべてが正反対である。彼女は本来軍人になるはずではなかった。ごく普通の女として、母として生活していた彼女は、運命のいたずらで家族を失う。なぜかかる悲運に見舞われたのか、おそらく彼女自身が一番悩んだことだろう。だがそれは、何の理由も必然性もない出来事だった。自分の問いに答えが与えられないことを知った時、ヨブのように神に怒りを向け・神の正義を問う代わりに、彼女はすべてを棄てて運命の手先であった華蓮団への復讐に生きる理由を求めた。

 国のためでもない、正義のためでもない。我と我が身を復讐に駆り立て、怒りを怒りで贖う為の戦い。気がついたら快速反応部隊に身を置いていた、と彼女は告白する。たった一度の悲痛な出来事を、それを上回る苦痛で忘れようとし、痛みを感じる心が麻痺した時にはすでに特殊部隊の指揮官だった。それでも常に自分を追いつめ、周囲を振り返る時間を自ずから捨て去らなければ、忘れたはずの苦しみがよみがえってくるのだ。残酷なまでに冷徹な指揮官はこうして生まれた。だがそれとてたった一つのきっかけで、つまり幼い子供の死を思うことで崩れ去ってしまう程度の、危ういバランスの上に保たれた心の平安だった。

 怒りと悲しみに溺れて自分を失った二人は、それぞれ違う局面で主人公・武村和輝と出会い、いずれも軍を脱走することになる。彼らに比べれば、和輝は未熟で愚かなただの青年である。だが幼い故に純粋な意志をのぞき見たとき、彼らの中で眠りについていた自我もまた息を吹き返したのだろう。彼らに帰るべき家はない。だがこの世のどこかに行くべき場所があることを、二人は思い出した。そこへと続くのは荒野の道のりである。一人では無理でも、仲間達と共にいればいつかは約束の土地にたどり着けるかもしれない。


vivace---caprice---calvary---patriot---foyer---numberless

Diachronic structure



>>>>>back

]]]Front Mission 3©Square 1999-2000[[[