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グリーンステイツ・アフリカ

 チュニジアのトマト。モロッコのオレンジ。コートジボワールのパイナップル。マリのマンゴー。

 冬の間、ヨーロッパの市場を彩る果物や野菜の多くはアフリカから送られてくる。アフリカは不毛の土地だというのは誤った認識である。不毛な土地はもちろんあるが、温帯にあることから実際には農産に適したエリアは広い。人件費のために高騰する西ヨーロッパ産農作物を市場から追い立てているのは、他でもない安価なアフリカ産農作物である。ヨーロッパの穀倉といわれたフランスの多くの土地が耕されずに雑草に覆われていく傍ら、アフリカの産物がスーパーの棚の占領を進める。

 アフリカが「不毛の」土地だった理由はモノカルチュア政策による日常農作物生産力の低さと柔軟性の不足、そして誤った開発政策の推進によるところが大きい。宗主国の利益のための作物、その典型がたとえばガーナのカカオ豆だが、そればかりの生産を強要された植民地経済は非常にもろかった。またヨーロッパ的な認識の元に進められた灌漑緑化政策も、むしろ土地資源の枯渇を促した。アフリカの暗黒は人災である。こと水源が政治力を意味する乾燥地帯において、部外者の介入は状況を悪化させこそすれ改善することはなかった。

 欧州と「新大陸」の経済的・技術的発展は、アフリカ大陸からの安価な労働力の流入を前提としている。それも純粋なフィジカル・パワーのみである。アフリカの資産の再生産、これには家族生活による人的資源の再生産も含むが、それは一切考慮に入れられていないばかりか、むしろ忌避されている(ヨーロッパ各国における労働移民のfamily regroupment政策を参照せよ)。

 エデンの東は人間の土地であり、ナイルの西は死の領域である。アダムの息子イヴの娘が耕す土地に播かれた麦は実るが、オシリスの民の手にする麦は嫉妬深いヘラの奸計によって煎られておろう。土地の表土を削り取るほか何の役にも立たない一年草を使った緑化計画が、そのよい例である。多年草や灌木は根を張ることによって養分ゆたかな表土を固定する効果があるが、その分根付きにくく育ちにくい。一年草はたちまち芽吹き大地を緑に変えるが、季節が過ぎれば塵となり、その根が切り崩した土は雨期の激しい濁流に運び去られて残らない。

 不毛の土地に緑が根付くには時間が必要だ。それも長い、とてつもなく長い時間が。アフリカの地に種はまだまかれたばかり、これからだれがどうやって育てていくのかによって、この土地が緑を取り戻すのか、あるいは石と砂だけの場所になるのかが決まるだろう。

 

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