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パクス・アフリカーナは訪れるか

 フランスを駆け抜けた20世紀最後のスキャンダルは、故フランソワ・ミッテラン大統領の息子、ジャン=クリストフ・ミッテランの逮捕であり、世紀がが変わって彼が保釈されるのと入れ替わるようにコンゴ大統領ローラン=デジレ・カビラが暗殺された。いずれも今日のアフリカを象徴する事件である。

 ジャン=クリストフ・ミッテラン。フランス最後の王とすら呼ばれた父フランソワ・ミッテランの元で秘書として働いていた90年代、アンゴラに兵器を売り続けた疑いが掛けられている。93年から94年にかけて総額6億ドルを越えたこの取引にからみ、こちらも逮捕されたピエール=ジョセフ・ファルコンが謝礼として受け取ったのは数億フランにも上ると言われる。16世紀にスペイン人がビーズ玉と引き替えに人の命を買い取った海岸沿いで、今度はフランス人が人の命を奪う鉛玉を売りさばいたということになる。歴史は繰り返すのか。

 ローラン=デジレ・カビラの命を奪った鉛玉にしても、それが西側の手から放たれたものであることを疑うものはいない。Désiré par personne---誰もカビラの存在を求めなかった。後を継ぐ息子ジョセフの元首就任はただ反政府勢力を結集させ、既に手の着けようがない内乱を悪化させるに過ぎないだろうというのが、おおかたの意見の一致するところである。この内紛は周辺各国のあからさまな軍事的介入と、西側諸国の秘密裏の工作に彩られている。ベルギー王の私領とされて以来(植民地ではない。私領だ。個人の持ち物、庭であり、箱庭であり、広大なジオラマである)、この国の人々に民族自決権はなかった。パトリス・ルムンバを思い出せ。あと一日生き延びていれば、コンゴ民主共和国の大統領は独立後最初の首相の暗殺40周年を祝うことができたはずだった。独裁者はなぜこの日に殺されたのか。アメリカ大統領の就任祝いの花火だったのだと噂するものすらいる。

 フロントミッション・オルタナティヴが仮想するアフリカ、それは今日から数えてほんの30年ばかり・世代ならわずか1世代経っただけのアフリカである。その世界は今日のアフリカに酷似している。違いがないといってもいい。せいぜいがいくつかの国境線が取り払われ、血で血を洗う宗教問題が語られないだけで(おそらくそれは話を単純化するための必然的なものであろうが)。西向きのアフリカ南部(SAUS)、内乱の続く中央・西アフリカ(WA)、そして民族も指向もブラック・アフリカとは相容れず、経済的には欧州との相互依存関係にあるマグレブ(UNAS)。違いがあるとすれば、現代のアフリカでは全大陸を覆う全面戦争が起こっていないという程度のものである。ゲームと違い、現実にはそれは起こらないだろう。なぜなら彼らの飼い主は、分割統治のメリットを知り尽くしているからである。

 だがアフリカではゲーム上の約束ごとのひとつが現実になっている。生き延びるためには戦わなければならないという約束ごと、あらゆるゲームのルールの中で、ゲームを遊ぶわれわれにとってはもっとも非現実的なそれが。

 貧困、内乱、軍事政権、暗殺、流浪、補囚、大量殺戮。これらのシナリオを、私たちプレイヤーは中隊長アール・マッコイの目を借り、ゲームオーバーやマルチエンディングの結果として経験する。だが、キガリやキンシャサでライフルを背負う12歳のアール・マッコイ達は、これらのエンディングを迎えてもリセットボタンを押すことはできない。そして戦うことのほかに何も知らないという点では、どちらのアール・マッコイも同じである。

 このゲームの真のエンディングを迎えると、アフリカ諸国は少しずつ歩調を合わせて新しい時代へと進み始めることになる。真の平和の時代、パクス・アフリカーナの到来。貧困だけが唯一の課題として残される、華やかではないが満ち足りた時代がそこには開けている。

 パクス・アフリカーナは我々の少年兵達にも訪れるだろうか。希望はある。マッコイ中尉の元にあらゆる起源の部下が集まったように、彼らの元に世界中の人々が手をさしのべれば。だがそれまでに何度のゲームオーバーが繰り返されるのだろう。フランスの少年たちが、舌打ちしてプレイステーション2の電源を切る回数と、どちらが多いだろうか。

この文章はゲームに刺激を受けての雑感・雑想を形にしたものです。
現実およびゲームとは何ら関係のないことをお断りしておきます。

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